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「本当のことを書きます」という制約

毎年、学部のゼミでRJP
(Realistic Job Preview;現実的な仕事情報を事前に提供すること)
というトピックを扱って議論するんですが、
それに関して少し考えた事を。


RJPというのは、
「入社前に企業のよい面、悪い面含めて、具体的な仕事内容や環境、社風などを求職者にできるだけありのままに提示し、それらすべてを納得した人の中から選考するホンネ採用=RJP (Realistic Job Preview)」
と人材広報コンテンツ作成をしている会社は言っています
(参考:http://www.intercommunity.co.jp/hr/research/2.html)


有名企業では野村総合研究所(NRI)が導入しています。
参考サイト:「NRIの歩き方」


経営学の文脈では、
「RJPの主な効果として、以下の3点が挙げられている。
(1) 入社後の役割や仕事内容が、明確化され、過剰期待を軽減し、入社後の幻滅を取り除く(ワクチン効果)
(2) より主体的な意思決定を促し、入った組織のコミットメントを高める(コミットメント効果)
(3) 応募にあたって自己選択を行い、自分にフィットした仕事だけに応募する(スクリーニング効果)」
とされているようです。
(参考:http://www.aftertone.com/diary/2005/09/rjprealistic_jo_7c24.html)


僕は、RJPとは、
「「良い事も悪い事も含めて本当のことを言うよ。
そうしたら就活生のギャップも減るし、
自分で選択できるし、入った後も頑張れるでしょ。」
と言うこと」だと解釈しました。



さて、「紙を渡すので本当の事を書いてください」
と頼まれたらどうするだろうか。


僕は
・真偽が判断できない抽象的なレベルで物を書く
・数値などで表せる定量的な事実(と思われること)を書く
・条件を絞りまくって「凄く狭い範囲の真実」を書く
あたりを思いつく。

その他は「書けない」。

そして、それから分かることは、
「本当の事」として書けることはものすごく少ないことである、
ということ。

そして、相手(例えば就活生)には
イメージの向上と油断を与える結果になる、
と僕は思う。


実際に採用情報を眺めてみると、

【抽象的なレベルでしか書けない例】
『採用担当者からのメッセージ
「厳しい会社だと思った。」「本質的な質問が多かった。」「思ったよりも楽しかった。」など面接についての様々な印象を耳にします。ここでは、RJPに基づいた面接で我々が何を見ているかを簡単にお話ししたいと思います。
 NRIの採用担当者が学生の皆さんとお会いして何を知りたいか。答えは、簡単です。皆さんが、日頃から物事を自分なりにどう考え、どう行動しているかです。学生時代の勉強は、受け身なものが多く、しかも方向性や解答がある程度決まっていることが多いかと思います。そういった環境の中で、ゼミ・研究室・サークル・アルバイトなど自分がこれまでに経験してきたことで、「自分なりにどう考えて行動しているか」このことをアピールして欲しいのです。私達が一緒に仕事をするお客さまのビジネスは、日々刻々と変化しています。その変化をどうとらえ、どう対応していくかといった具体的なサポートをお客さまは期待しているのです。つまり、「自分の考えにもとづいた行動」=「ビジネス変化への対応力」という視点で皆さんを見ているのです。
 皆さんには、実際の面接で是非この雰囲気を体感していただければと思います。高い志と強い意志を持った皆さんとお会いできることを楽しみにしています。」』
(参考:リクナビ)


【数値などで表せる定量的な事実(と思われること)を書く例】
「福利厚生」


【条件を絞りまくって「凄く狭い範囲の真実」を書く例】
「職種別に見る社員の一日」
(職種・一日で条件を絞っている。飲み会の日を選んでいることに注目)


しかし、本音を言っていることに違いは無いので、
見る人からは「正直な会社だ」という良い印象を与えたり、
「これが真実なんだから信じればいい」
(発展すれば「この情報さえあればいい」)
と思うことに繋がるのではないのだろうか。

それは採用活動の目的に沿ったことかどうかは疑問だと思う。
「この会社は正直な情報を発信しているんだから、
他社の企業研究を進めよう」と思われうる。


企業側は「答え方が上手くなる」だけではないだろうか。
(それがコンサルの価値の一つなのかもしれないけど)

イメージアップが目的ならいいのだけれど、
先ほどあげたような効果
(1) 入社後の役割や仕事内容が、明確化され、過剰期待を軽減し、入社後の幻滅を取り除く(ワクチン効果)
(2) より主体的な意思決定を促し、入った組織のコミットメントを高める(コミットメント効果)
(3) 応募にあたって自己選択を行い、自分にフィットした仕事だけに応募する(スクリーニング効果)
を求めるのなら、その効果を得られるように思わない。


僕は世の中グレーゾーンの事がとても多い
と思っているからなのかもしれないけど、
「本当のことを言います」というだけでは
得られる情報が少なすぎるんじゃないかと考えてしまう。


もし、「求職者が最終的に納得できるような情報を提供したい」のであれば、

「種類を絞って少量の『本当と言える情報』のみを提供する」
よりも、

「真偽合わせて様々な情報を提供しその情報のソース・作られ方・作成者も明記する」
方が組織の内情を知るには有用だと思う。

そうすればそういう形では得られない情報もはっきりするし、
足で稼ぐべきor自分で感じ/考えるべき情報がどういうものかも整理しやすくなる。


そう簡単に行かないのが現実なのは分かっているけど、

「そういう汚い現実には私は反対です」というメッセージが
込められているように思わせてしまうRJPというものに
けっこう引っかかるところがあったのです。
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