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あるカフェで、夕方ごろに。

目の前に男女2人組がいて、
女が豚のように食べ物をほおばりながら、
男は何かを見つめながら話の種を探している。

女が短い後ろ脚を組み直したときに、
カウンター近くのテーブルにいた3人が帰り支度を始める。

一人が会計を済ませる間に、
あとの2人がこの後の計画を話しながら荷物を片づけ始め、
隣で静かにしていた犬を抱えて店を出ていった。

店はクリスマスに備えて少しずつ飾りを増やしていく途中のようで、
僕との対角線の、まだ飾りが全くないエアコンの真下には、
僕と同じように本を読んでいる女性がいる。

それにしても目の前の女性の方は
話のくだらなさを、下品な話題と人への批判で
埋め合わせようとする癖があるようだ。

そこにいらつく僕の隣の席に、
マルチーズをつれた老夫婦がやってきて、
コーヒーとケーキを注文した。

隣に犬が来たことで、一気に店全体の印象が変わった気がするところに、
僕のいい加減さを感じてしまう。
今のところ、犬は存在レベルで僕に優しい。豚よりもかわいい。

醜いと思ってしまうことと、美しいと思ってしまうことが、
うまい具合というわけでもなく、ごくごく現実的な程度でバランスを取っている。

目の前の男がパソコンを開き始めた。
豚はスマートフォンに鼻息を吹きかけている。

おそらく目の前の2人組は想定内の範囲で品が悪いし、
マルチーズは想定の範囲内で自由に振る舞う。
僕は僕の予想を超えることをすることも考えることもできない。

向こうに、茶色のプードルを連れた女性が一人入ってきた。
僕と老夫婦に注文を聞きに来ていた男性店員ではなく、
奥にずっといた女性店員が注文を取りに出てきた。

彼女をうらやみたくなるほどの雰囲気はない。

右を向くとマルチーズと目が合い、
遅れて、そのことに気を使うご主人の目が続く。

いま、犬を中心に、無関係の壁が崩れかかっている。

なにが起こるか分からないことに干渉できることは、
場という面でも、タイミングという面でも、それほどありふれてはいないように思う。

ほとんどのことは想定内で、
勘違いではあるのだが、僕らは地震でさえ想定に入れようとしている。

僕は世界を少し変えてしまう覚悟をして、マルチーズに触れることにした。

予想がつかず、変わりうることをするときは、
それで変わらないことに対する覚悟も必要である。

変わるのか、変わらないのか分からない中、期待とともに、手を伸ばそうと思う。

そう思って、タイピングをやめた時、
老夫婦は席を立って僕の右手をすり抜けていった。

そして不機嫌そうな豚が、一匹で帰った。
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